自主性を育てるピラミッドメソッド教育とは?|オランダ式の幼児教育

ピラミッドメソッド教育法オランダ

ピラミッドメソッドという教育方法を知っていますか?
子どもの自主性を育てることを目的としたオランダの幼児教育です。
欧州の教育制度は、日本の詰め込み式とは違って
考える力や自主性を育てることを重視しています。

ピラミッドメソッドとはどういう教育なのか?
メリットやデメリットを含めてまとめてみました。

ピラミッドメソッドとは?|自分で考えて決断できる力を育てる

ピラミッドメソッドとは、オランダ政府教育機構(Cito)が開発した
「自分で考えて決断できる力を養うこと」に重点を置いた幼児教育です。

「ピラミッドメソッド」と言葉を聞いても、ピラミッド?メソッド?
何やら固くて難しそうな教育法・・というイメージを持つかもしれませんね。

名前は難しいですけど、何てことはなくて「学ぶ」というより
「遊び」に近いイメージです。決して堅苦しいものじゃありません。

どうしてピラミッドメソッドが注目される?|日本になかった教育法

幼児教育イラスト

みんな一緒で、という画一的な教育法が根強い日本では、
「こどもの自主性を伸ばす」という視点が弱いという指摘も出ています。

日本の学生や社会人の多くは、与えられたことは上手にできる
けど 自らの頭で考えて行動に移す、ということが苦手です。

決まったものを作っていけば良かった時代では
画一的な教育方法が良かった面もありますが、
変化が激しいグローバル社会を生き抜くためには
自分の頭で考えて行動できる子供を育てることが
大切になってくるのではないでしょうか。

ピラミッドメソッドの特徴|教えるではなく導く、引き出す

ピラミッドメソッドは簡単に言うと
「子どもの自主性を伸ばす」教育法です。
具体的にはどういうことでしょう?

まず、子どもたちは全員一緒に何かをすることはあまりありません。
それぞれの子供たちが自分で何をしたいかを決めて遊びます。
一人一人が違うことをしているのです。

一見すると好き勝手やっているように見えるかもしれませんが、
きちんとした規則に従って行動します。

そして、子どもたちが自分で決断できる環境づくりができるように
保護者を含めたケアをしています。

「自分で決めて行動するから、放っておいてもいいや!」
というんじゃないですよ。

暖かく見守って、時には一緒になって考えてくれる
保育者の存在は絶対不可欠
です。

子どもの自主性を伸ばすには保育者の愛情が土台となっているのです。
ここがしっかりしているからこそ、子どもたちは自分の意思で
物事を判断することができるのです。

子供の自主性を尊重し、先生が一方的に子どもたちに
何かを教えることは一切しません。
先生は子ども一人一人と向き合い、一緒に何をするかを決め、
子どもの「やる気」を引き出し、導きます。

ピラミッドメソッドを取り入れた保育園では保育者にも変化が現れます。
「教える」よりも「引き出す」「導く」という教育法なので
子どもたちとより身近に接することができるようになり
質の高い保育になったという報告も出ています。

日本の伝統的な幼児教育の形とは大きく異なっているから
最初は面食らう親御さんたちも多いようですけど
とても面白い教育法だと思います。

日本の文化に合った形で、ピラミッドメソッドの手法を
取り入れるところは今後も増えていくかもしれませんね。

ピラミッドメソッドの教育方法をみる

ピラミッドメソッド保育ルーム

 引用画像 http://www.keiyufukushikai.com/tawaradai/tawaradai_022.html

 

○保育室を分ける

だだっ広い空間よりも少し隠れたり、一人になったりできる
「小さな空間」は子どもにとって安心感を与えます。

小さな空間には、積み木コーナー、絵本コーナーなど
いくつかの遊びコーナーをカーテンやボードなどのパーテーションで区切ります。
こうすることで、ここで遊び終わったら片づけてから
違うコーナーで遊ぶというルールを身につけることができます。

日本の伝統的なやり方では、一斉にみんなが同じことをするので
全員分のものを1日に何回も出しては片づけて、を繰り返します。
そうすると必然的に指示語が多くなり、騒々しい雰囲気になります。

最初からコーナーに分かれていると、その必要がなくなり、
落ち着いた雰囲気で遊びに没頭できることができるのです。

 

○サークルタイム|円の形に座りましょう!

サークルタイム写真

サークルタイムとは学校でいうホームルームのようなもので、
朝とお帰りの時に行います。

部屋の中央に円を描くように椅子を並べて座ります。
こうすることで子どもたちは、お友達全員の顔を見て
コミュニケーションをとるようになります


保育者は子どもたちにより身近に接し、
子どもたちも安心感を得ることができます。

○プランニングボードで自分の意志表示|自発性を育てる

ピラミッドメソッドプランニングボード

部屋にあるすべての遊びコーナーを写真で表示したプランニングボードを
見て子どもが自分のしたいことを決めます。
そして自分の名札をその写真の下に貼ってから遊びます。

これはピラミッドメソッドの目的である「子どもの自主性を伸ばす」
ために必要不可欠な工夫です。
他の園ではなかなか見られないことですね。

○プロジェクト|長いスパンで行う遊び

日々当たり前に過ぎていく日常生活をかえてみよう!
という狙いを取り入れているのも
ピラミッドメソッド特有の教育法です。

月ごとに一つのテーマを決め、毎週テーマに沿った課題をしていきます。
例として、色と形をテーマにしたときの取組をみていきましょう。

〈例〉テーマ「色と形」

 1. 1週目はディスプレイ!

玄関ホールの柱に色分けをしてつくった
三角、丸、四角などの形を吊るして
子供たちと、「この色はトマトだ、この形はミカンだ」など
想像を膨らませます(サークルタイムで話し合います)

         ↓

 2. 2週目は実際に見せる! 

玄関ディスプレイを見て子どもたちのお話に出てきた
野菜や果物を実際に手に触ったり、においを嗅いだりします。


         ↓
 3. 3週目はごっこ遊び!

お部屋に設けられたプロジェクトコーナーで八百屋ごっこをします。 
生活の中にある色や形を「遊び」を通して学びます。


         ↓ 
 4. 4週目はごっこ遊び進化形!

ごっこ遊びをさらに広げて一つ上のクラスのお友達や先生と
さらに高度なお買いものごっこをします。

オランダ幼児教育プロジェクト写真

「プロジェクト」と聞くと仕事のようですが、
子どもたちは「遊び」が仕事です。

何も決めずにただなんとなく毎日遊ぶより、テーマをしっかりと決め、
それに沿った遊びをしていくほうが日常生活にメリハリも出ますよね。

○北欧ならではの素敵な空間づくり

オランダ保育園

北欧では、うっそうと茂った森の中に青や赤、黄色などハッとするような
鮮やかな色の壁の住宅が並んでいます。
この北欧ならではの美的感覚を保育園でも取り入れています。

いわゆる学校的なスタイルとは異なった、
豊かな色彩で彩られたカーテンやテーブルクロスと
家庭の温かさを感じさせる机や椅子の配置など、
子どもたちに安心感を与え、美的感覚を養います。

気になる学力レベルは?|学力テストでオランダは上位国!

ピラミッドメソッド教育が開発された国、オランダの教育レベルは
どうなのか 気になりますよね?

国際的な学力テストPISAで、オランダの子どもたちの
学力が上位でした。

このような学力にプラスとなっている結果から
オランダ政府教育機構(CITO)が開発した
ピラミッドメソッドが注目を浴びるようになりました。

ピラミッドメソッドは決して保育者が一方的に
数字や文字を教えこむことはしません。
常に「子どもの自主性」が一番に考えられています。

子どもは強制的に教えられたことよりも 、自ら「したい」と思って取り組み、
それを達成した時に喜びを感じて、 飛躍的に成長します。

子どもの「やりたい」意欲を育てることが
勉強をする上で大切な土台となります。
これが小学校からの学力向上につながるのではないでしょうか。

国際的な学力テストPISAは、従来の能力テストとは異なっていて、
通称、「生きる力のテスト」も呼ばれています。

国際学力テストPISA

グローバリゼーション化が急激に進んでいる昨今、
従来の暗記型の知識だけでは間に合わなくなってきました。

ピラミッドメソッドは今後を生き抜く力を養う優れた教育法なのです。

体力レベルは?|遊びながら体力をつける

ピラミッドメソッドは「遊び」を通して学んでいく手法です。
子どもたちの遊びのバリエーションは大人が思う以上に
さまざまで数限りないものです。

保育室はもちろん、戸外でも子どもたちが遊びを
自由に選択できることが重要であるとされています。

特別何かしていることはなく、例えば、外で思い切り遊ぶことによって
体力レベルの向上はある程度期待できますが
ピラミッドメソッドに体力レベルを
向上することに特化した理論はありません。

子供の幸福度は?|オランダの子どもは世界一幸せ!?

子どもの幸福度調査

ユニセフが発表した子どもの幸福度調査で
オランダの子どもが世界一になっています。

「自分で選択して決断できる」ことに重点を置いた
ピラミッドメソッドではその前提として
「子ども一人ひとりの人格とその意思」が認められています。

決断をあたたかく見守ってくれる環境のなかで
子どもは安心や幸福を感じることができるのです。


しつけは?|指示語が少ない保育園

ピラミッドメソッドを取り入れるとまず、
保育者の子どもたちへの指示語が少なくなります。

日本の伝統的な方法では全員を一斉に動かそうとするため、
どうしても指示する言葉が多くなり、声も大きくなります。

子どもたちは保育者の指示に従い、
真似をし、一日中先生に頼ります。
必然的に騒々しい空間となり、この雰囲気と同じように
子どもたちも落ち着きがなくなります。

ピラミッドメソッドでは全員一緒のことをするのは
リズム体操くらいで、大半の時間は子ども一人一人が
自由に好きな遊びをしています。

好き勝手しているように思いますが、一つのことを終えると片づける、
というルールに従って自ら考えて行動しています

ですので、保育者の真似をすることもなく、
「センセイ、センセイ」と取り合いになることもありません。

実際にピラミッドメソッドを取り入れた園では
それまでの騒々しい雰囲気が改善され、
子どもたちの様子が落ち着いたという報告も出ています

ピラミッドメソッドのデメリットは?|日本教育に合う?

日本の風景

ピラミッドメソッドでは、とにかく「自主性」に重点を置いています。
確固たる人格(意志)が尊重される欧米社会では必要ですが
共同体を重んじる日本ではどうでしょうか?

ピラミッドメソッドを取り入れた園で育った子が
一般の小学校に入ったとき、その画一的な方法に
とまどうことがあるかもしません。

ともすれば最初は「浮く」こともあるかもしれません。
そこがデメリットかもしれません。

また、受験などとは無縁です。
ピラミッドメソッドは「遊び」をとおして子どもの発達を促します。

数字や文字を一方的に教えるということはしないので
受験を考えている親には不向きと言えます。

ピラミッドメソッド教育は、こんな人におすすめ!

○子どもに自分の頭で考えて行動する子に育ってほしいと思う親
○落ち着いた子になってほしいと思う親
○グローバル社会をたくましく生き抜いてほしいと願う親

自宅でやってみよう!

家庭にも取り入れられるピラミッドメソッドをまとめました。

○遊びの「プロジェクト」を計画してみよう! 幼児写真

例えば週のテーマを「たくさんの色」にします。

1日目は折り紙を使ってこんなにいろんな色があるんだよ、
ということを子どもに見せます。好きな色を選ばせて壁に貼ってみます。

2日目は一緒に絵本を見ながら折り紙の色と同じ色を探します。

3日目は折り紙と同じ色絵の具やクレヨンの中から選ぶ遊びをします。

4日目は本物の野菜や果物などを並べて同じ色を選ばせます。

野菜や果物は同じ色でも少しずつ違った色味を帯びていること
を知ることができます。

このようにテーマを決めて徐々に遊びの質を高めていくような
やり方をします。

クレヨンで遊ぶ、絵を描くこと以外に
少しずつ新しいことにチャレンジして
なんとなく過ぎていく家庭での保育にもメリハリをつけて
楽しんでみましょう。

 

○子どもに指示をしないようにしましょう! ピラミッドメソッド教育法幼児写真

家庭では雑事が多いため、つい「早くして」や「片付けなさい」など
指示語が多くなってしまいます。

大人が先回りしてあれこれ口を出してしまうと、
子どもの自主性を伸ばすことができません。

この間だけは指示語を言わない、
と決めて子どもの意欲をかき立てるように仕向けます。

ピラミッド・メソッドは保育者から子どもへの指示語が極端に
少ないのが特徴です。

これに習って家庭でも子どもの「やりたい」という欲求を
後押ししてあげましょう。

 

○片づけのルールを徹底させよう! ミニアイコン

一つ遊び終わったら玩具を片づけて、
それから違う遊びをさせるようにしましょう。
ピラミッドメソッドを取り入れている園では当たり前の光景です。

ただし、押し付けるのではなく、親も一緒に楽しそうに片付けます。
そうすることで片づけ=楽しいもの、ということを子どもに認識させます。

ピラミッドメソッド教育法のまとめ

ピラミッドメソッドは理論がしっかりしていて
一見堅苦しそうなイメージを持たれるかもしれませんね。

実際は、とても自由であたたかい雰囲気のなか、
子どもたちが伸び伸びと育つ教育法です。

小さい頃は、なんでも吸収するのでなるべく早いうちから
数字や文字を教えたい、と思う親御さんの気持ちもわかりますが、
子どもは一方的に教えるより、自分で「これがしたい」と
思って取り組むほうが格段に成長します。

「自分で選択して行動する」これこそが
未来をたくましく生き抜くために必要な力ではないでしょうか。

 

生きる力を育てる幼児教材

家庭保育園は、親と子どもの関わりを
とても大事にしている幼児教材です。

マグネットや手作りで作っている積み木など
教材一つ一つにこだわりがありオランダの幼児教育と同様、
子どもへの語りかけを大事にしていて
子供の考えを膨らませてくれる教材です。

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ピラミッドメソッドの参考書籍とサイト

細かい内容のところは、とても難しいので詳しい説明は省略しましたが
ピラミッドメソッドについてもっと知りたい方は こちらの書籍とサイトが参考になります。

島田教明・辻井正(2008)21世紀の保育モデル‐オランダ・北欧幼児教育に学ぶ‐  
オクターブ p25〜27,29、30、40,44,106〜110

子どもと育ち総合研究所
http://www.play-dev.jp/pyramid/

ピラミッドメソッド幼児教育法
http://www.play-dev.jp/pdf/Pyramid%20Method.pdf

田原台ひまわり保育園
http://www.keiyufukushikai.com/tawaradai/tawaradai_022.html


幼児教育おまかせ隊


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